「IT全史」を読んで、ネットはもちろん、電信、電話、ラジオ、テレビの歴史まで分かった気になれた

パソコン用語集」を充実させるために関連書籍を読んで勉強中です。

 

初耳の「腕木通信」なるもの

そして今回読んだのがこちら。

300ページを超え、なかなか読みごたえがありました。

 

それにしても、いきなり出てくる「腕木通信」の話には驚きました。まったく知らなかったからです。

腕木と呼ばれる数メートルの3本の棒を組み合わせた構造物をロープ操作で動かし、この腕木を別の基地局から望遠鏡を用いて確認することで情報を伝達した。

腕木通信 – Wikipedia

なんだか原始的な通信手段ですが、これがフランス国内を縦断するほど広がっていたというのだからビックリ。

 

意外と「腕木通信」の話が長くて細かいと思ったら、どうやら「IT全史」の筆者である中野明さんが専門に調べてきた分野のようで、過去に本も出版されています。

なるほど詳しいわけです。

 

本を読まなくても「腕木通信」のことだけなら、こちらの中野さんのサイトにしっかりまとまっています。

しかも本にはない写真やイラストも豊富です。

電信、電話、ラジオ、テレビの歴史

第1章の「腕木通信」に続く第5章までの「電信」「電話」「ラジオ」「テレビ」の歴史も、とても興味深く読むことができました。

本の目次はこんな感じ。うまくまとめられています。

第1章 腕木通信が空をかける
第2章 電気を使ったコミュニケーション
第3章 音声がケーブルを伝わる
第4章 電波に声をのせる
第5章 テレビ放送時代の到来
第6章 コンピュータの誕生
第7章 地球を覆う神経網
第8章 IoE、ビッグデータ、そして AI

こうやって解説されると、あたかもインターネットが生まれてきたのは時代の必然だったようにも思えてきます。

 

しかも使っている通信手段が変わるだけで、その規模や能力に応じて通信コストを下げるための工夫が加えられ、広告ビジネスが生まれ、企業は独占しようとたくらみ、ネットワーク犯罪が発生するなど、人間のやることは大して変わりません。

とにかく電話からラジオ、テレビへの流れと広がりはダイナミックで読んでいてもワクワクしました。

 

中でもデビット・サーノフという人物、なかなか凄い人だったのですね。これまた、まったく知りませんでした。

このあたりは、また別の機会があれば調べてみたいと思います。

コンピューターとインターネット

やっと知っている話が登場しました。というか、かなり知っている話も多かったのですらすら読めました。

それでも「ヴァネヴァー・ブッシュのメメックス」は、これまたまったく知りませんでした。

 

本当に世の中、知らないことだらけです。特に「As We May Think」の下りは面白かったです。

検索すると翻訳されたものも見つかりました。

1945年の論文で、すでにハイパーテキストの概念を考案し、それを実現する機械「メメックス」を提案しているという面白いエピソード。アナログなマイクロフィルムが使われているところが興味深いです。

 

「メメックス」でアマゾンを検索すると、こんなキンドル本がありました。購入したので、あとで読みます。

こういった情報もネットで検索してリンクをたどっていくと見つかるのですから、すべてがつながっている感じですね。

IoE、ビッグデータ、そして AI

そして最終章では、いま話題の IoT が IoE(Internet of Everything)へと広がり、ビッグデータ、AI へとつながっていきます。

実によく、まとめ上げたものです。巻末に参考文献も紹介されているので、気になった箇所は補強しておきたいです。

 

この本を読んだからといって「パソコン用語集」に直接の影響はありませんが、やはり通信の歴史やバックグラウンドを知っているに越したことはありません。

なによりも「読み物」としてきちんと楽しめました。中野さん、ありがとうございました。

 

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